2013年6月26日水曜日

7/24(水) 出版記念セミナーが開催されます

7/24(水)に東京丸の内で「ザ・ロスチャイルド」の出版記念セミナーが開催されます。
場所は、KITTEがございますJPタワーホール 4Fになります。

働く女性のための経済セミナー

城山三郎経済小説大賞の選考委員でもあった作家佐高信氏にもご参加いただきます。 渋井さんのサイン会も行われますので、ぜひご参加いただければと思います。

『ザ・ロスチャイルド』が出版されました

渋井真帆さんの新刊、第4回城山三郎経済小説大賞を受賞された『ザ・ロスチャイルド』が6月21日にダイヤモンド社より出版されました。

内容は、19世紀にのヨーロッパ全土を震撼させた2人の怪物、ナポレオン・ボナパルトとネイサン・マイヤー・ロスチャイルド。2つの正義、2つの理想、男たちが目指したものは何だったのか? 世界を牛耳る金融王国の原点が描かれています。

ザ・ロスチャイルド | 渋井真帆 著 | ダイヤモンド社
ザ・ロスチャイルド | Amazon

2013年6月18日火曜日

第五回 : ヨーロッパひとり旅 (3)

1週間ほど経って、ホテルの部屋の窓から、朝陽を浴びるフィレンツェの大聖堂を眺めていたとき、日本から国際電話をもらいました。

「『ザ・ロスチャイルド』が第4回城山三郎経済小説大賞に決まったよ、おめでとう」
半年間離れていた、夫の嬉しそうな声が聞こえてきます。

「感想は?」
「ありがとうの言葉で胸がいっぱい」
私は電話を切ると、窓を開けて大きく伸びをしました。
半年間、多くの人たちのやさしさに助けられてきたと思う。 日本で大人の留学を応援してくれた人、異国の地で手を差し伸べてくれた人。
心から感謝します。



ここから色々な場所に行けるとおもうとワクワクします



ベニスのゴンドラ、おひとりさま



パリでの一コマ:カプチーノでひと休み



パリの素敵な風景

2013年6月16日日曜日

第五回 : ヨーロッパひとり旅 (2)

訪れた場所はどれも魅力的でしたが、ベルギーのワーテルローがとくに印象に残っています。
英雄ナポレオン・ボナパルトの最後の戦場として歴史に名高いわりに、交通が不便で、観光化もされていません。 それでも歴女の私にとっては、ローカル列車と徒歩20分、タクシー20分を乗り継いでも訪れたい場所です。
ところが帰り用に予約したタクシーがやってきません。運転手さんの携帯に電話してもつながりません。 管理事務所らしき建物もすでに閉館して、日もとっぷり暮れてしまいました。


ワーテルロー古戦場、ライオンの丘にて

こんな異国の原っぱにひとり残されても焦らないのは、「四十にして惑わず」の年頃のせいかも、などと考えながら辺りを歩いてみると、少し先に明かりの灯った建物が見えます。 丸太小屋風のつくりで、地元の人たちが集まる居酒屋のようでした。 窓から中をのぞいてみると、19世紀初めのフランス兵や将校の格好をした人たちが、ビールジョッキを手に楽しそうに歌っています。 私は好奇心に駆られて居酒屋の木扉を開けました。歌が止んで、人々の視線が一斉に集まります。
Bonsoir」と笑顔であいさつすると、向こうも「Bonsoir」と返してくれました。
彼らは英語を若干は理解できるけれど、フランス語しか話せないそう。 私のほうは少しならフランス語を解するけれど、話すのは苦手。相手はフランス語、こちらは英語で話すという奇妙な会話が続きました。

居酒屋にいた地元の人たちは親切で、ブリュッセル駅行の直行バスがあることを教えてくれ、バス停までの地図と時刻をメモに書いてくれました。
「皆さんのコスチュームは、ナポレオン1世時代のフランス軍のものですよね」
帰りの交通手段のめどがついたところで、気になっていた質問をしてみます。
「今日は練習日だったんだ」
「練習?」

「ああ、『14番目のナポレオンの露営』イベントの練習さ」
200年ほど前のワーテルローの戦いを記念して、戦いがあった6月18日前後に、毎年イベントが開催されるのだとか。
「露営の様子や食事、戦闘を当時のままに再現するんだ。今日は戦闘の練習をやったよ。ちなみにナポレオンとウェリントン、贔屓はどちらかい?」
「J'aime beaucoup Napol?on!」(ナポレオンが大好き!)
「じゃあ、われわれの仲間だ。出会いに乾杯!」
ベルギービールを飲みながら、ナポレオン談義に花を咲かせました。 どこの国でも、歴男・歴女は分かりあえるものです。 タクシーが来なくて結果よかった。


地元の人から二角帽をかぶせてもらう、シアワセ。



200年前、ナポレオンは戦い、敗れた。

2013年6月15日土曜日

第五回 : ヨーロッパひとり旅 (1)

5か月間のカナダ生活を終えて、私はヨーロッパへ旅立ちました。半年にわたる海外滞在の最後の1か月間で、次回小説の取材も兼ねて、ヨーロッパ各地を巡ることにしたので、日程をご紹介します。

10月29日 バンクーバー発、台湾経由で成田へ(飛行機)
10月30日 成田着
11月 1日 成田発、ロンドンへ(飛行機)
11月 9日 ロンドンからユーロスターに乗ってブリュッセルへ、
       滞在中、ローカル列車でワーテルローへ!
11月11日 ブリュッセルからタリスに乗ってパリへ
11月19日 パリからTGVに乗ってトリノへ、トリノからユーロスターイタリア(Frecciarossa)に
       乗り換えてフィレンツェへ
11月22日 フィレンツェからユーロスターイタリア(Frecciargento)に乗ってヴェネツィアへ
11月25日 ヴェネツィアからユーロスターイタリア(Frecciargento)に乗ってローマへ
11月29日 ローマからロンドンへ(飛行機)
11月30日 ロンドン発、成田へ(機中泊)
12月 1日 日本帰国

今回の旅では列車を主に利用しました。主要都市以外の風景に接したいのと、他国同士が地続きであるという、日本にない地理的特徴を体感したかったからです。飛行機、列車は各社ホームページ、ホテルはHotels.comやBooking.comにネットでアクセスして、バンクーバー滞在中に手配済です。


フランス・ベルギー・オランダ・ドイツを結ぶ高速列車Thalys(タリス)



パリ北駅

2013年6月3日月曜日

第四回 : イチローを観にNYヤンキーススタジアムへ (3)


打席に立つイチロー選手

「お姉ちゃん、ファールボール取ったら僕にちょうだいね」
前の座席の男の子が振り向いて、青い目をくりくりさせながら頼んできました。

「お姉ちゃんは素手だからな、俺がこのグローブで取ってやるよ」
と、隣の席の男性。今日のピッチャーはCCサバシアだから、相手チームの攻撃陣はボールを引っかけてファールばかり出るだろうとのこと。
けれどファールはなかなか飛んできません。 7回攻守替えの頃には男の子も半ベソ気味。

すると隣の男性が立ち上がり、一塁に向かって大声で叫びました。
「おーい、スウィッシャー。この将来の大リーガーboyにボールを投げてやってくれ」
直後、スウィッシャー選手がキャッチボールで使っていたボールが、男性のグローブに吸い込まれました。
「これがアメリカ野球の文化なのさ」
ボールを男の子に渡しながら、彼が誇らしそうに胸を張ったのが印象に残っています。



ボールを手にしてご満悦

 

2013年6月1日土曜日

第四回 : イチローを観にNYヤンキーススタジアムへ (2)

「ticketmaster.comのサイトをこまめにチェックしてみるといいよ」
と、教えてくれたのは個人レッスンをお願いしていたシカゴ出身のAnthony。
「法人が接待用にキープしたチケットが、何らかの理由でディスカウントして売られることが意外とあるんだ」
「そんなチケットは一瞬で買われてしまうわ」と、私。
「そうでもないさ。内野席は高価だって思い込みがあるから、たいていの人は空きをチェックすらしないんだ」

なるほどと朝、昼、晩サイトをチェックしていたら、本当に出てきました。8月29日の対ブルージェイズ戦、エリア14Bの6列6番、1塁側の前から6列目の席です。嬉しいことに予算内での購入です。


座席にもヤンキースのマークが!

当日はタイムズ・スクエアのホテルから地下鉄に乗って161St. Yankee Stadium駅へ。
売店で購入したヤンキースTシャツに着替えて、いざ球場に足を踏み入れます。まず驚いたのは天然芝の美しさです。
濃い緑色、グランドの赤茶けた土色、その向こうに広がる初秋の澄みきった青い空。ウォーミングアップやキャッチボールをしながら、観客の呼びかけに気さくに応える選手たち。野外のピクニックにやってきたような、伸びをしたくなる開放的な空間です。とにかくフィールドと観客の距離が近い。フェンスも無しです。


フェンスなしのスタジアム


ウォーミングアップ中のイチロー選手